『Billion Love』~17回目のプロポーズは断ることが出来ない?!
翔は相変わらず空中の姿勢が見事で、ジャンプやカーブに突入しても殆どブレーキングをしない。
その心拍数はbpm180以上だと言われている。
三十分間ノンストップでその心拍数を維持し続けるのは超人と言ってもおかしくない。
人間離れした身体能力と集中力、そして超人的な肉体と精神力がなければ世界では通用しない。
「今何位ですか?」
「八位」
「結構頑張ってますね」
まだ三分の一も終わってないのに結構いい順位につけてる。
現在世界ランキング十位。
それから考えてもかなり健闘してると思う。
『翔、……頑張れ』ペンダントを握りしめて祈る。
何周目だろう?
同じチームの人は同じ色のユニフォームの為、翔がどれなのか分からなくなる。
一応ゼッケンつけてるけど、泥んこでゼッケンの意味を成してない。
内緒で観戦しに来てるから大声で叫ぶことも出来ず、ただただ祈るしか出来ない。
「しょ~~~~ッ!!頑張れ~~~~っ!!」
「あっ」
翔パパが大声で叫んだ瞬間、目の前を通過した翔が一瞬こっちを見た………気がした。
「凜ちゃんも応援して!!今、五位だよ?!」
「えっ?!五位なの?」
「うん!!」
MXGPは二十戦の合計ポイントで優勝が決まる。
この大会で優勝しても世界王者になるわけじゃないけど、少しでもポイントが稼げてランキングが上がるなら!!
「しょぉぉぉ~~ッ!!攻めろぉぉぉ~~ッ!!」
「行けェェエェェ~~っ!!」
久しぶりに翔の試合で叫ぶ。
青空の下で誰に咎められるでもなく、翔パパと心を一つにして翔のために他国の人の目も気にせずに。
「凜ちゃんっ、残り一周になったから、ゴール地点に急ごっ!」
「あ、はいっ!!」