『Billion Love』~17回目のプロポーズは断ることが出来ない?!

「りーーーんッ!!」
「おめでとぉぉぉ~~~っ!!」

最終的には、翔は三位だった。
ランキング上位のベテランライダーをカーブで捲り競り勝ったようだ。
泥んこ状態でまだ着替えも終わってない翔が私の元に駆けて来た。

「ッ……」
「来るなら来るって言えよっ」
「こっそり見たかったのっ」
「堂々と見ればいいじゃん」
「久しぶりだから何だか恥ずかしいじゃない」
「いるって知ってたら最初からぶっ飛ばしたのに」
「え?」
「ほらほら、ラブラブなのは分かるけど、チームの皆が待ってるぞ?」
「あ、……ん」

泥んこ状態の翔に抱き締められていた。
彼からの二回目とカウントされるハグは、何とも言えないほどの感動を味わった。

***

翔のチームのメンバーは、一位(世界王者)、三位(翔)、四位(ランキング七位)、九位(ランキング八位)が上位を占めた。
さすが、世界最強のチームだ。
翔が尊敬している世界王者のデュック選手に紹介された。
何故か、翔の恋人だと。
否定すると、せっかくの雰囲気も壊れるしね。
翔の機嫌も悪くなりそうだからそこは軽くスルーしてあげた。

チームで祝賀会が行われた。
様々な国籍の選手が集まっていることもあり、パーティーの料理は多国籍料理で、専属のシェフが何人かいるみたいでどれも凄く美味しい。
パーティーで三時間ほど過ごし、私と翔は一足先に抜け出した。

「いつ来た?」
「昨日」
「親父と?」
「うん」

翔が歩く少し後ろを追うようについていく。

「翔」
「ん?」

立ち止まって鞄からプレゼントを取り出す。

「お誕生日おめでとうっ」
「ッ?!……さんきゅ」

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