『Billion Love』~17回目のプロポーズは断ることが出来ない?!

翔の誕生日は四月二日。
今日が翔の誕生日ということもあって、どうしても観戦したかった。
結果はどうであれ、本人に直接『おめでとう』が言いたかったから。

振り返った翔は私の手からプレゼントを受け取った。

「開けていい?」
「うん」
「おっ、これ骨伝導のやつ?」
「うん」
「マジで?すげぇ欲しかったんだよねっ!」

……知ってる。
翔パパに聞いたから。
ロードワーク中は事故も遭い易いから耳を塞ぐようなイヤホンやヘッドホンはつけたがらない。
だけど、長時間運動するのにモチベーションを上げるのに欲しいと言っていたらしくて。
防水、防塵、衝撃に強くて、急速充電も出来るタイプにした。

お酒の飲み過ぎかな?
何だか顔が熱くて、クラクラする。
祝賀会でシャンパンやワイン、ビールを飲んだおかげで、だいぶ酔ってるっぽい。

「おいっ、凜!……大丈夫か?」

宿泊しているホテルへと戻る途中、バロック様式の建物に囲まれている広場で座り込む。

「酔ったみたい」
「デュックさんたち酒豪だからな……。立てるか?おんぶしてやるから」
「……ん」

久しぶりの翔の背中。
肩や腕だけでなく、背中にも筋肉がついていた。
相当なトレーニングを積み重ねているようだ。

「レースも、おめでとう」
「……さんきゅ」
「お誕生日とは別で、何か欲しいものある?後で送るから」
「………送れるもんじゃねぇとダメか?」
「ん?……手作りご飯とか?あ、マッサージとか?」

日本にいた頃は、しょっちゅう全身マッサージをしてあげてた。
筋肉はしっかりと解すことが大事だから。

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