『Billion Love』~17回目のプロポーズは断ることが出来ない?!
「翔くんのために管理栄養士の資格取ったような子だから、この家に縛られなくても、きっと大丈夫だと思うの。海外で暮らす翔くんさえ良ければ、凜も海外で生活しても全然構わないし。だから、この家は処分して貰って構わない」
「……」
「あの子の面倒をみてくれとは言わないわ。自力で生活出来るくらいのスキルはあると思うし、これらを処分すれば、遊んでは暮らせないだろうけど、最低限の生活保障は出来ると思うし」
「……」
「凜と結婚してくれたら思い残すことは無いけど、無理にとは言わないわ。せめて、今まで通り友人として傍にいてくれれば、おばさん安心してあの世に行けるから」
言いたいことは山のようにあるのに、上手く言葉が出てこない。
気休めなことは言えないし、凜ママの気持ちにも寄り添いたい。
「凜のことは心配要らないから」
「……本当?」
「うん。俺は結婚するつもりだけど、毎年プロポーズしても振られてるんだけどね」
「えっ?!そうなの?」
「おい、翔っ!いつの間に……」
「いずれはちゃんと形にするつもりだけど、今すぐには無理かも……。俺は良くても凜がOKしてくれないと思うし」
「………あの子ったら」
「俺も遊んで暮らしてるわけじゃないから、それなりに貯金もあるし、引退した後は親父みたいに食べていけると思うし」
「……えぇ」
どんな言葉が正しいのか分からない。
だけど、ほんの少しでも安心させてやりたくて。
俺なりの言葉で伝えてみたが、胸の内全部を曝け出すのは出来なそうだ。