空に一番近い彼
私はまた彼にメッセージを送る。

『剪定をお願いしたいです。父にも了解を得ました』

『了解!ちょうど今週土曜日に入ってた仕事がキャンセルになったから、俺と親父で朝から行けるけど』

父にそのことを伝えると、自分もその場にいたかったが、抜けられない仕事が入っていて残念だ。彼らに剪定してもらえるのは奇跡のようなもんだからお願いしなさいと返ってきた。

『それでは、土曜日お願いします』

『OK。ところで、俺、君の名前聞いてなかったんだけど』

『私は高ノ宮美咲(たかのみや みさき)です』

『美咲って、いい名前だな。今日会ったばかりだけど、君にぴったりの名前だと思う』

なんだか胸がくすぐったい。

『ありがとうございます』

『じゃあ、土曜8時に行く。8時に始めれば13時には終わると思うから』

『私、見学したいんですけど、ダメですか?』

『安全な場所で見てるならいいよ』

『よかったです』

本来なら、ではよろしくお願いします。それでこのままメッセージのやり取りは終わるのだけれど、私はもう少しだけ話していたい気持ちに駆られた。でも、何を話そうか迷っていると彼の方から送られてきた。
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