空に一番近い彼
◇◇◇

父はその日、満足げな表情で帰って行った。

私の人生で、今日という日は、とても貴重なものになった。
彼と私の二人だけの手話も作ってしまった。
恥ずかしかったけれど、傍にいて欲しい時もと勇気を出して伝えてみると、笑顔でもちろんと返してくれた。

右手で左鎖骨を掴んでみる。

〜君は一人じゃない〜

彼の打ち込んでくれた文字が鮮明に蘇る。
屋根裏部屋に一人寝転がり、星を見上げる。
青空に向かってグングン登っていく姿を思い出した。彼の目にはどんな景色が映っているのだろう。彼のことばかり考えてしまう。考えているだけでは足りず、とても会いたくなってしまった。

午後9時

話だけでもできるかなと思い、メッセージを送る。

『今日は本当にありがとうございました』

『俺の方こそありがとう。屋根裏部屋、美咲のお気に入りなんだろ？そんな大切な場所に俺を入れてくれて嬉しかった。今は星が綺麗に見えるんだろうな』

すぐに返ってきたメッセージに、私の気持ちは暴走を始めてしまった。
すぐさまビデオ通話に切り替え彼の顔を確認する。
そして、二人だけの手話をした。
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