空に一番近い彼
参ったな、どこに行ったんだ。

俺はさらに奥へと進む。

「いた!」

ログハウスの庭の椅子に腰掛けて空を眺めている。
その様子はまるで一つの絵画のようで、思わず見惚れてしまった。

我に返り俺は彼女の元へ向かう。
俺の姿に気がついたのか、慌てた様子で椅子から立ち上がった。

彼女と向き合い、鍵を目の前に差し出すと、俺の手から鍵を受け取った。指は長く綺麗な手だ。

彼女の口元が緩み、鍵を握り締め深く頭を下げた。

俺はそのまま引き返えそうと思ったのだが、ログハウスの別荘を囲んでいる木々が気になり足を止めた。その中でも特に大きなクスノキが気になった。2階建ての屋根よりもかなり高さがあるので、10メートルは優に超えている。俺の足は自然にクスノキに向かっていた。

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