月下の逢瀬
悔し涙が溢れた。
みっともない別れ方まで知られて、そして告白までしてしまった。

こんな戸惑った困った顔を見たくなくて、ずっと隠していたのに、
勢いでべらべら喋ったあたしは馬鹿だ。


理玖が、さっさとこの部屋から出て行ってくれればいい。
聞かなかった事にしてくれて構わないから。


声を殺して泣いていたら、理玖がぽつりと呟いた。


『真緒。俺には、玲奈(れいな)がいる』


『知ってるってば!』


『玲奈とは、別れられない』


『だから、何よ!? ごめんとかそんな言葉を続けるつもりなら、もう何も言わないでいいっ』


『……二番目、は嫌か?』


ためらいがちな低い声。
あたしは意味が分からずに、顔を上げた。


『は? 今、なんて言ったの』


『真緒が二番目でいいって言うなら、その気持ち、引き受ける』


理玖の顔は真剣で、瞳は怒りを滲ませているかのように強い光があった。


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