月下の逢瀬
しばらくして、ワインを注いだグラスを2つ載せたトレイを持って、佐和は戻ってきた。
『何かないかと探したんだけど、クラッカーくらいしかなかったの。普段飲み慣れてないと、こういう時に困るわね』
肩をすくめていう佐和は、ベッドに腰掛けて俺を見た。
寝そべったまま見上げる俺の頬を、優しく撫でる。
『何て顔してるの? 昔、イタズラが見つかって怒られた時と、おんなじ顔してる。
あたし、怒ってないわよ?』
『ごめん』
『もう、いいのよ。さ、起きて』
ぽんぽんと肩を叩き、佐和は先にグラスに口をつけた。
綺麗な喉が上下するのを、なぜか鮮明に覚えている。
あまりに佐和がいつも通りだから、変に気にし過ぎている自分が情けなく感じて、俺はのそのそと起き上がった。
もう一つのグラスを手にとり、もやもやを消すかのように、半分ほど一気に飲んだ。
冷えたワインは喉を潤し、気持ちを落ち着かせてくれた。
『本当に、ごめんな。佐和』
『もう。晃貴ってばしつこいっ。気にしてないわ』
くすくすと笑う佐和。
グラスを置いて、引き寄せた。
『や。こぼれるじゃない』
『明日、俺が洗う』
『何かないかと探したんだけど、クラッカーくらいしかなかったの。普段飲み慣れてないと、こういう時に困るわね』
肩をすくめていう佐和は、ベッドに腰掛けて俺を見た。
寝そべったまま見上げる俺の頬を、優しく撫でる。
『何て顔してるの? 昔、イタズラが見つかって怒られた時と、おんなじ顔してる。
あたし、怒ってないわよ?』
『ごめん』
『もう、いいのよ。さ、起きて』
ぽんぽんと肩を叩き、佐和は先にグラスに口をつけた。
綺麗な喉が上下するのを、なぜか鮮明に覚えている。
あまりに佐和がいつも通りだから、変に気にし過ぎている自分が情けなく感じて、俺はのそのそと起き上がった。
もう一つのグラスを手にとり、もやもやを消すかのように、半分ほど一気に飲んだ。
冷えたワインは喉を潤し、気持ちを落ち着かせてくれた。
『本当に、ごめんな。佐和』
『もう。晃貴ってばしつこいっ。気にしてないわ』
くすくすと笑う佐和。
グラスを置いて、引き寄せた。
『や。こぼれるじゃない』
『明日、俺が洗う』