月下の逢瀬
言い置いて、玲奈さんはドアへと向かった。
ドアに手をかけたかと思うと、

「もし、あたしの目を盗んで理玖に近付くようなら、その時は容赦しないからね」


くるりと振り返って言った。


「じゃあね」


短いスカートがふわりと揺れ、ドアの向こうに消えた。

ぱたりと閉じられたドア。

ぱたぱたと軽やかに遠ざかる足音を聞いた。



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