月下の逢瀬
理玖と別れた日から、二ヶ月が過ぎた。


理玖と玲奈さんは、何事もなかったかのように、仲が良い二人として過ごしていて。

あたしは何もない毎日を送っていた。
変化したのは、理玖を待つことのない夜。


それともう一つ。
時折、玲奈さんの探るような瞳が、あたしを射ぬいた。
校内で、ふとした瞬間に。

学食や、購買。帰りの昇降口。
視線を感じると、そこにはいつも玲奈さんがいた。

理玖の痕跡があたしに残っていないか、僅かなものも見逃すまいと。



それはきつくて、辛くて。
あたしはいつも逃げるようにその場を離れる。


玲奈さんの向こうに、あたしに背を向けた理玖を見つけるから。

あたしを見ることのない背中を。


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