月下の逢瀬
くしゃくしゃ、と先生の手があたしの頭を撫でた。
「……先生は、何でそんなに優しくしてくれるの? あたし、先生に大切にされるような特別なところ、ないよ」
あたしのどこに、先生を惹きつけるものがあるんだろう。
不思議で、気付けば聞いていた。
「好きだからだよ、もちろん」
くすりと笑って、先生は考え込むように顎に片手を添えた。
「うん。あとは、やっぱり下心があるからかな。だから、単に優しいっていうのとは違うと思うよ」
「茶化さないで。じゃあ、何で『好き』なの?」
「『好き』に理由付けなんて、必要ないだろ」
さらりと言って、
「例えば」
先生はあたしの手に触れた。
「今、俺は手を握ったけど、本当はそれ以上椎名に触れたいと思ってる。椎名にもっと近付きたい。だけど、他の女には、そんなこと思わない。
それは『好き』だからだ」
長い指が、あたしの指に絡む。
きゅ、と握られて、大きな手のひらを感じる。
「それじゃ椎名は不満?」
「……先生は、何でそんなに優しくしてくれるの? あたし、先生に大切にされるような特別なところ、ないよ」
あたしのどこに、先生を惹きつけるものがあるんだろう。
不思議で、気付けば聞いていた。
「好きだからだよ、もちろん」
くすりと笑って、先生は考え込むように顎に片手を添えた。
「うん。あとは、やっぱり下心があるからかな。だから、単に優しいっていうのとは違うと思うよ」
「茶化さないで。じゃあ、何で『好き』なの?」
「『好き』に理由付けなんて、必要ないだろ」
さらりと言って、
「例えば」
先生はあたしの手に触れた。
「今、俺は手を握ったけど、本当はそれ以上椎名に触れたいと思ってる。椎名にもっと近付きたい。だけど、他の女には、そんなこと思わない。
それは『好き』だからだ」
長い指が、あたしの指に絡む。
きゅ、と握られて、大きな手のひらを感じる。
「それじゃ椎名は不満?」