月下の逢瀬
2-Bの教室の前。
息を切らしながら覗いたあたしに気付いたのは、コウタくんだった。


「あれ? 椎名どうしたんだよ、珍しい」


ドアのところまで来て、きょろきょろと見渡して、


「結衣と一緒じゃねーの?」


不思議そうに聞いた。


「う、うん……。あの、玲奈さん、いる?」


「久世? 見てねーけど」


言いながら、室内を振りかえった。


「やっぱりいねーな。宮本もいねーし。
あ、宮本は職員室か。さっき呼ばれてたんだ。もしかしたら久世も一緒じゃね?

椎名、具合はいいのかよ?」


コウタくんはあたしの顔を覗き込んで聞いた。


「まだ顔色悪いぞ」


「大丈夫。あの、ありがとうっ」


コウタくんにお礼を言って、職員室に向かおうとした時、
こちらへ向かってくる理玖の姿を見つけた。

玲奈さんは、いない。


「お。宮本ーっ、椎名が久世探してんぞ。彼女どこ行ったか知らねー?」


コウタくんが理玖に声を張り上げた。

それに反応して、理玖がこちらを見て。


あたしの姿を捉えた。


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