月下の逢瀬
果たして、先生が静かに聞いた。


「宮本とは、ちゃんと話したのか。話し合ったその後で、あいつは久世を選んだのか?」


「妊娠、したことと、玲奈さんに言ったってこと、だけ……」


首を振って答えた。


「それならまだ、そんなこと言うな。ちゃんと宮本と話してから、だろう?」


な? と先生は言って、あたしの体を離した。


「とにかくここを出よう。ここは寒いから、体が冷え切ってる。お前の体に障る」


ぐい、と無理矢理立たされて、


「椎名がそんなだと、お腹の子が苦しむ。寒がってるぞ」


と言われた。


「苦しい、の?」


「当たり前だろ。椎名と繋がってるんだから」


だから行こう、と促されて。
あたしは引かれるように教室を後にした。

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