月下の逢瀬
「久世のことは、何かあったらすぐに電話する。だから、あまり思い悩むな」


「……ん」


家の近くの、いつものコンビニ。
のそのそと降りようとしたあたしの肩を、先生が掴んだ。


「……何?」


「こんな時だけど、宮本と話す時間、作ろうな? ちゃんと話し合うんだ」


「……ん」


こくんと頷いて、車を降りた。
車は勢いよく、駐車場を走り出て行った。


涙の乾いた瞳に、冬の日差しが眩しい。

手の甲でごしごしと目を擦って、あたしはのろのろと歩きだした。


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