月下の逢瀬
講堂横の中庭には、花壇を取り巻くようにしてベンチが置かれている。
春先にはここで昼食をとる生徒が多いのだけれど、
今日はあたしたち以外には二組しかいなかった。
結衣はその二組からも離れたベンチに座った。
「結衣、どうしたの? 今日、様子おかしいよ」
早足の結衣に引かれていたせいで、息が軽く上がっていた。
「真緒……、何で休んでたの?」
目の前に立つあたしを見上げて聞いた結衣の顔は真剣だった。
「か、風邪だよ? 前から調子悪かったでしょ、あたし」
「ホントに? 久世さんのことと関係があるんじゃない?」
「……え?」
「真緒と理玖くん、何かあるんじゃないの?」
どくん。
心臓が潰れそうな衝撃。
「な、何? 何でそんなこと聞くの?」
「久世さんのケータイを、一年の女の子が拾ったんだって。
メール内容見たって、言い触らしてる。性格悪いよね」
それはまあ置いといて、と結衣は言葉を切って、あたしをじっと見た。
春先にはここで昼食をとる生徒が多いのだけれど、
今日はあたしたち以外には二組しかいなかった。
結衣はその二組からも離れたベンチに座った。
「結衣、どうしたの? 今日、様子おかしいよ」
早足の結衣に引かれていたせいで、息が軽く上がっていた。
「真緒……、何で休んでたの?」
目の前に立つあたしを見上げて聞いた結衣の顔は真剣だった。
「か、風邪だよ? 前から調子悪かったでしょ、あたし」
「ホントに? 久世さんのことと関係があるんじゃない?」
「……え?」
「真緒と理玖くん、何かあるんじゃないの?」
どくん。
心臓が潰れそうな衝撃。
「な、何? 何でそんなこと聞くの?」
「久世さんのケータイを、一年の女の子が拾ったんだって。
メール内容見たって、言い触らしてる。性格悪いよね」
それはまあ置いといて、と結衣は言葉を切って、あたしをじっと見た。