月下の逢瀬
結衣のいなくなったベンチに座り、ため息をついた。
結衣の気持ちを踏みにじってしまった。


あたしはどこまで、人を傷つければいいんだろう。
自分が情けない。



「どうしたらいいんだろ」



ぽつりと呟いて。
すっかり色を失って、春の訪れを待っている桜の木を見上げた。

これが満開になる頃には、問題は解決しているのかな?
笑顔でこの木を見上げる日はくるのかな?

そんな日は、永遠に来ない気がするよ。



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