月下の逢瀬
ちょこちょこと足を止める優月の歩調に合わせて、暖かな日差しの中を歩く。

向こうのグループは、大学生だろうか。
一際盛り上がっていて、まだ明るいのにずいぶん酔っ払っている人もいるようだ。


大学生、だよね?
あたしと同じくらいに見えるし。
何だか楽しそう。


何となしにその様子を眺めて。


「…………っ!?」


そこに頭を幾度となく過ぎった姿を、捉えた。


光のせいで金髪にもみえる、茶色の髪。
同じ茶色の瞳は意思の強い光が宿っていて。
粗削りな笑顔。


まさか。


「理玖…………」


思い出より少し大人びた理玖が、そこにいた。


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