感情少年少女
だから俺は…私を演じるの。
「…少し出かけてくる」
母さんが嫌いだ。
男でいたいのに母さんは女でいさせようとする。
父さんはどちらでも構わないみたいだけど。
「俺は女の子じゃない」
男の子だっ!!
「よぉ、蜜!」
「今日もカッコイイな!」
その言葉を言われるだけで嬉しくなる。
男の子として扱ってもらえるこの場所は俺の中で1番大切な場所だ。
どうして俺が女の子を捨てないのか。それは──。
「じゃあ今日も頑張ってな、蜜ちゃーん」
「…おう!」
俺は衣装に着替えてステージに立つ。
「今日も可愛いぞー蜜!」
「……ありがとぉー!」

──女の子を捨てないのは金を稼いであの家から早く出るため。女の子の衣装を我慢して歌を歌えば金が貰える。こんな美味しい仕事他にはない…だろ?
pagetop