感情少年少女
窓の外を見る。
どこまでも澄んだ青空。
これを見たらきっと…綺麗って言うんだろうな。
私にはこれのどこが綺麗なのか理解できない。
でも…なぜか無意識に窓の外を見てしまう。
席を立ち、私は教室から出て行った。

でもね、私にも1つだけ昔の記憶…感情を覚えているものがあるの。
もう随分と昔のことだけど。
あの日のことを未だに忘れられないのはきっと…感情の"痛い"がわかった日だったからだろう。
『お前さえいなければよかったのにっ!』
そう言って私の首をキツく絞め付ける私の母親。
『お、かあ…さっ』
なぜか苦しいとは思わなかった。
首を絞められて息もできなかったのに苦しくはなかった。
……苦しいとは感じなかった。
でもなぜか"痛い"と思った。
今でもなんでそう感じたのか私にはわからなかった。
"あの日"を再現すればわかるのかな?
空っぽの私の心。
どうすれば埋められるのかな?

──私は感情というものが理解できない。理解できないけど理解してみたい。
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