この恋、運命です
思ったよりも大きく出た声に、きゃあきゃあとはしゃいでいた友人たちの声が止まった。秋月さんも気まずそうにこちらを見てる、気がする。
「俺がやっかみ言ったから、気を遣ってくれたんだよな、優しいね優さん。名前の通りだ、ほらほら、皆さんジョッキが空いてますよ、追加のお酒も来てますから飲んで飲んで」
不意に名前で呼ばれて、顔に熱がカアッと集まる。私を庇うような発言をして、場の空気を和ませるなんて、本当に優しいのは春川さんみたいな人のことを言うはずだ。
「ごめんなさい、大きな声出して」
「いいよいいよ、俺こそ変なこと言ってごめんね」
「どんな職種だって、必要なことなのに。職種で見るなんて、私は嫌だったんです。ごめんなさい」
「えっと、珍しいタイプだね、優さん。あっごめん、下の名前で呼んじゃってるけど嫌じゃない?」
「じゃあ、私も泰斗さんって呼びます」
ほんの少しの淡い期待を込めて、私も名前を呼んでみる。しっくりときた名前呼びがじんわりと胸に熱を広げた。