この恋、運命です
私の負けです
あんな出会いから早数ヶ月。泰斗くんと会ったのなんて数えるほどだ。土日の外泊だって多くない。外出くらいなら出来るみたいだけど。
何度か繰り返したデートは、楽しかった。仕事の話だって、つい聞き惚れてしまうし。美味しいご飯屋さんにも詳しくて、私の好みをしっかり捉えていて悔しいけどステキな人だった。
それに、毎日繰り返し丁寧に送られてくる「おやすみ」と「おはよう」のラインにもう心を掴まれていた。会えない分を埋めるような何度も送られてくる「好き」の文章は、ずるすぎる。
「優! おばあちゃんに付き合って行ってきてよ、休みなんでしょ」
お母さんに急に言われて、浴衣を着て向かったのは駐屯地で行われる盆踊り大会だ。お母さんの運転で、後頭部座席でおばあちゃんに寄り添う。
「ごめんねぇ、優ちゃんだって休みの用事あったでしょうに。でも、心強いわぁ。歩くのだって大変だったからねぇ」
のんびりで呟くおばあちゃんに頷いて、手を握る。股関節を悪くして歩くのが大変なおばあちゃんの付き添いを任されるのは、これが初めてではない。
真っ赤な牡丹が咲き乱れるお母さんからのお下がりの浴衣は、私のお気に入りで背筋がスッと伸びる。
何度か繰り返したデートは、楽しかった。仕事の話だって、つい聞き惚れてしまうし。美味しいご飯屋さんにも詳しくて、私の好みをしっかり捉えていて悔しいけどステキな人だった。
それに、毎日繰り返し丁寧に送られてくる「おやすみ」と「おはよう」のラインにもう心を掴まれていた。会えない分を埋めるような何度も送られてくる「好き」の文章は、ずるすぎる。
「優! おばあちゃんに付き合って行ってきてよ、休みなんでしょ」
お母さんに急に言われて、浴衣を着て向かったのは駐屯地で行われる盆踊り大会だ。お母さんの運転で、後頭部座席でおばあちゃんに寄り添う。
「ごめんねぇ、優ちゃんだって休みの用事あったでしょうに。でも、心強いわぁ。歩くのだって大変だったからねぇ」
のんびりで呟くおばあちゃんに頷いて、手を握る。股関節を悪くして歩くのが大変なおばあちゃんの付き添いを任されるのは、これが初めてではない。
真っ赤な牡丹が咲き乱れるお母さんからのお下がりの浴衣は、私のお気に入りで背筋がスッと伸びる。