この恋、運命です
「じゃあ、あとで迎えに来るから。おばあちゃんよろしく。あと」

 焦ったそうな顔でお母さんが小声で囁いたのは、私の心を見透かした言葉だった。酔った勢いで、お母さんに告げてしまった泰斗さんのことをずっと覚えていたらしい。
 
「ソワソワするくらいなら素直に会いに行きなさいよ」
「うるさいなー、もう、お迎えはよろしく」

 お母さんの顔をなんだか恥ずかしくて見れずに、視線を逸らしたまま見送る。しっかりとおばあちゃんの肩を支えながら、用意された席へと向かった。

「優ちゃんは、出店とか見て来なさいね。おばあちゃんは、お友達もいるから大丈夫よ、帰る時だけまた、お願いね」

 ソワソワと無意識にしていたのだろうか。おばあちゃんは席に座ってニコニコと私の背中を押す。

「優ちゃんなら大丈夫よ。それに、蛙の子は蛙って言うじゃない」

 おばあちゃんの言葉を意味通りに捉えるとすれば、私もやっぱり自衛官の彼と付き合う運命だったということだろう。もう亡くなっているおじいちゃんも、自衛官だった。

 そんなところが似るとは思わないけどね。

 言い訳をしながらスマホを鳴らす。スマホを持ってるかどうかすら、わからない。お化け屋敷が目に入って、立ち止まったところを声を掛けられる。

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