この恋、運命です
「お姉さん一人? 一緒に入る?」
「結構です」
「出会い求めてこういうとこ来てるんじゃないの? いいじゃんいいじゃん」

 赤らめた顔は明らかに酔ってる。めんどくさいのに絡まれたな、と思いながら無視をしようとすると腕を掴まれる。

「無視すんなって」

 勢いよく振り払おうとした瞬間に目に入ったのは、カーキ色のTシャツだった。
 
「その子は俺と待ち合わせしてたから離してくれない?」

 聞き覚えのある声に、ホッと胸を撫で下ろそうとしたら再度引っ張られる腕。

「え?」
「行くぞ」
「どこに?」
「盆踊り?」
「なんで」
「せっかく可愛い浴衣着てるんだから、踊りに来たんだろ」
「小学生じゃあるまいし!」

 ふざけながらも巻き込まれる輪に、自然と体が動く。小さい頃からおばあちゃんに仕込まれた盆踊り。自然と踊れてしまう。

「めっちゃ、完璧じゃん」

 笑い声が耳を熱くして、抗議しようと振り返れば進んできた泰斗くんにぶつかってしまった。

「あぶね!」
「踊りに来たんじゃないの」
「じゃあなに」
「泰斗くんに話したいことあって」
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