旅人

Ⅰ 〜幼少期〜

「お母さん!僕、旅人になりたい!」

幼い頃の僕は、そう無邪気に叫んだ。

「旅人、ねぇ。いいかも知れないわ。きっと、いろんなところに行けて、楽しいわよ。うちのお父さんもね、旅人になったの。それでね…」

その後、何か言っていた気がする。

でも、全く覚えていない。

きっと、眠りでもしたのだろう。

昔の僕は、十時間以上は寝る健康な子だったから。
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