「どうか、」

「……エミ……」



火が消えるのと同時に、抱きしめてくれたのがわかった。


音も形もない涙。

けれど叶永はいつも、それを掬い上げてくれた。


名前を呼ぶ声が優しい。困らせてるの、私なのに。



「……エミ、友達も大切な人も、ちゃんといるから。私居なくなってもそこまで大丈夫かなって、勝手に思っちゃってた」

「……叶永、は、ひとりしかいないよ」

「うん。そうなんだなって今伝わった。ありがとう」

「ありがとう、は、わたしの方…っ」



ねえ、叶永、わたしね。

叶永に救われた心が、いくつもあるんだよ。


弱さは、見せちゃいけないものだと思ってた。
甘えは、迷惑なことだと思っていた。

でもそういうもの全部、叶永は受け入れてくれた。
聞かせて、って目を合わせてくれた。


わたしね。叶永に会えたから、変に無理せず、ちゃんとありのまま弱くなれたんだよ。


ねえ、叶永。

わたしまだ、ひとつも返せてないよ。



「……エミがいてくれなきゃ、こんなに楽しくなかったよ!!私、友達で、こんなにたくさんの思い出交わして、いっぱいくだらない事も、真面目な話もしたの、エミくらいだからさ」

「わたしも、叶永にしか話してない事、いっぱいある」

「それはめちゃくちゃ嬉しい。聞いたか早川!いいだろ!こちとらエミが早川のこと好きになる前から知ってるんだからな!!」

「……早川、も、寂しがってた」

「え、なんだって。なんだよちょっといい奴だな……ライン消さないであげよう」

「消すつもりだったの……???」

「だってエミのことからかうくらいしか話すことないじゃん」

「……」
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