「どうか、」
ぱちぱちと瞬きを繰り返せば、同じくきょとんとした目を合わせられて。
そうして耐えきれなくなったみたいに、二人して吹き出した。
「てっきり仲良いんだと思ってた、ふたり」
「まあ認めてはいる、エミの彼氏は早川しかおらん。それか私」
「叶永と比べちゃったらこの世の誰も敵わないよ」
「え!!!!!なにそれ!!??プロポーズじゃん!!??」
「そうだよ、永遠の誓い」
「やば。結婚する。帰りに入籍しよう」
「もう役所閉まっちゃってるよ」
「えそうじゃん……向こうから婚姻届送る」
「あははっ、早川に自慢するね」
「めちゃくちゃ焦りそう、『は!?』とか言って。早川がちんたらしてるから悪いねん」
さっきまでしんみりしてたのに、気が付いたらまたくだらない話だ。
こうやってずっと、わたしたちは続いて来た。
悩みも迷いも弱みも、色んなこと話して、聞かせてもらって、塗り替えるくらいくだらないことではしゃいで。
そうやって、ずっと。
「え、もう終わってしまう…あんなに買ったのに一瞬すぎる」
「…………」
「エミ?」
「これ、取っておいちゃ、だめかな。最後の一本」
「え、これ?」
すっかり雨を吸い込んで、もうほとんど燃えなさそうな花火を、不思議そうに掲げる叶永。
終わらせたがらない、わたしの悪い癖、かもしれないけど。