桜の咲く頃に

プロローグ

「好きだ！！俺と付き合って下さい！」

　ある男子中学生がそう叫んで目の前の女の子に告白していて告白された女子中学生は目を見開き固まっていた。

　男子中学生は、なかなか返事がされないので恐る恐るみると女性中学生は目に今にもながれそうな涙をいっぱい溜め男子中学生を見ていた。

「桜……？」

　びっくりした男子中学生は女子中学生、桜の涙をそっと指で拭うがそれでも涙は止まることなく、ついには頬にまで流れ始めた。

「ごめん、泣くほど嫌だったのか？」
「ちが……うの……嬉しくて……泣いてるの！」
「え？」
「それくらい気づきなさいよ、バカ春馬！」

　春馬の胸に飛び込んだ桜がバシバシと胸を叩く。
痛くはない。
　まだ桜は泣いている。
　答えは出ているかもしれないが桜の声で聞きたい。

「告白の返事聞かせてくれ」
「私も好きよ！」

　桜がそう言って顔を真っ赤に染めて春馬の胸に顔を埋めめて、そんな桜を春馬は優しく抱きしめる。

　それを祝福するように静かに見守っていた桜の木々達が桜の花びらがヒラヒラと舞い上がっていった。
　それが中学生最後の卒業式の時の事だった。