突然現れた魔女っ子が帰ってくれません。
 ふとジュリが枕にしている本が目に付いた。解読不可能の訳の分からない文字がびっしりと並んでいる。

「キラ、さん……?」

「お、わり。起こしたか?」

 細く目を開けたジュリが俺に手を伸ばし、突然抱きついてきた。

「……お、おい」

 子供相手に頬が紅潮する気配がして、一瞬焦る。が、スゥと聞こえる寝息に安堵がもれた。

 寝ぼけてんな、コレは。

「……だい、ろくじゅうにの。まほー」

 おまけに寝言まで言ってやがる。

 にんまりと笑ったジュリの寝顔を見て、頭をポンと撫でてやる。

 こいつも一生懸命なんだよな、魔女になるために。

「だいしゅき、キラしゃん」

 ドキンと心臓が跳ねた。

「……俺はお前の親じゃねぇっつーの」

 亜麻色の髪に触れ、俺はふっと口角を上げた。
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