たった一人、君に恋して
二人の恋愛
「大好きだよ」
「私も・・・!」
そう言うと、彼は世界一優しい目で私のことを見る。
私を見るその目も、声も、態度も、何もかもが私のことを全力で好きだと物語っている。
こんな感覚は初めてだった。
自分のことを大切にしてくれる人がこんなに近くにいる。
微笑みかける彼のその目に、いつも引き込まれそうになる。
握った手の温かさや、感触全てが心地良いーーー。
実桜side
まただ。
またこれを繰り返さないといけないのか。
恋愛が終わったあとは、いつもむなしい。
大好きだった人が自分のことを好きじゃなくなる。
今までこんなにたくさんの思い出を作ってきたのに、それすらも「嘘」だと言われているような気持ちになる。
どうしてだろう。
今回も私は何もしていない。
嫌われるようなことはした覚えがない。
「ごめん。実桜は悪くない。俺が悪い。他に好きな人ができた」
だったらどうしてそんなことを言うの?
私はいつでもあなたに好きだと伝えてきたし、あなたを一番に思って行動してきた。
あなたが弱音を吐いた時はそばにいたし、あなたが望むことをしてきたはず。
『実桜は尽くしすぎなんだよ。そんなんじゃ男は余裕こいて逃げてっちゃうよ』
嫌な友達の言葉を思い出した。
どうして相手に尽くすことがいけないのか。
私には全くわからない。
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