たった一人、君に恋して



 ああそうだ。

 
 思い返してみれば、付き合った2年間。


 最後の半年くらいはずっと苦しかった。


 相手の気持ちが返ってこないことの方が多かった。


 よかれと思ってしたことも、うまく伝わらず大きな声で怒鳴られたり、物を投げられたこともあった。


 それでも私はあの人のことだけを思って行動してきた。


 あの人とは違って、他の人に目移りなんてしなかった。

 
 ずっと、あの人と一緒にいるんだ。

 
 付き合い始めた時に言ってくれた言葉を胸に、どんなにつらい時も前向きに生きてきた。

 周りの友達には何度『やめときなよ』と言われたかわからない。


 最後の方にはもう誰も相談に乗ってくれなかった。

 理由はわかっている。

 私が意地を張ってあの人といることを選び続けたからだ。


 友達はみんな、こうなることを理解していたのだろう。

 気づいていなかったのはバカな私だけだったんだ。


< 3 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop