愛よりもお金が大事。
◇
「…すっげぇ、出た」
その冬野の言葉を聞きながら、少し久しぶりだったか、と思う。
10日振りくらい?
月のものがあったりで、冬野からの誘いを何度か断っていた。
私の上で力が抜けたように倒れ込んでいる冬野の髪を撫でると、嬉しそうに小さく笑っている。
達した後も、冬野はいつもすぐに私から離れない。
こうやって、余韻を楽しんでいる。
冬野は私の首筋を撫で、小さなダイヤのネックレスを人差し指で引っ掛けている。
このネックレスは、ホワイトデーに冬野に貰ったもの。
その前に、バレンタインは冬野にチョコとネクタイをあげているから、そのお返し。
「夏村、一体いつになったら俺のものになるんだよ?」
「だから、冬野が私に飽きたらこの関係は終わりだって言ってるでしょ」
だから、いつ終わりになるのか、冬野とこうやって会う度に、怖くなる。
冬野に毎日だってこうやって会いたいけど、あまり体を許し過ぎたら飽きられてしまいそうで。
だから、こうやって関係を持つのは、最近は週に一度程にしている。
最初の頃は、週に2~3回だったけど、このままのペースじゃ飽きられてしまうと、減らすようにした。
初めのあの一度はホテルだったけど、
それ以降は、冬野の一人暮しするマンションで、こうやって会っている。
仕事の後、冬野のマンションの近くの駅で待ち合わせて、どこかの店で食事を二人でして、この部屋にやって来て、ってのがルーティーン。
冬野の部屋は、1LDKで。
わりと落ち着いた色の家具で統一されている。
今、冬野のシングルのベッドの上、裸で私達は重なったまま。