愛よりもお金が大事。
私の自宅と冬野の住むマンションはちょうど1駅分で、
車だと、10分くらい。
4月の今でも、夜はとても寒いから暖房を付けてくれるけど。
車内が暖まる頃には、私の自宅に着いてしまう。


「夏村、平日の夜だけじゃなくて、昼も会わない?休みの日とか。
どこか一緒に出掛けたりしたい」


下り際、冬野にそう言われた。


私達はいつも会うのは平日の夜で、金曜日が多い。
そして、一緒に食事くらいはするが、セックスするだけで。

「冬野もそうだろうけど、休みの日って、1日中ぐったりしてない?」


「確かに。夕方迄寝てることもざら」


「だよね?普段、移動にけっこう体力奪われてる。
駅から遠い店舗に行くと、足とかパンパンだし」


「でもさ、土曜日がそうでも、日曜日行けんじゃん?
お互い、二連休の週」


「まぁ…」


そうなのだけど。
でも、私も冬野も土曜日が出勤になる事が多々あって。
土曜日出勤の週は、日曜日がそんな感じでぐったり。


彼氏の居ない最近の私は、暇な日曜日に家の掃除をしたりや、本を読んだり、それなりに忙しい。
でも、会社で会えない日曜日も、冬野に会いたい…。


「明日、俺昼出るから、明後日の日曜日とか?
夏村は、今週は土日休みだろ?」


それに頷いて、日曜日会う約束を交わしたいけど。


「けど、私達の関係って、別に付き合ってるわけじゃないから。
今の感じでいいと思う」


そうやって、恋人のように冬野とデートなんかしたら。
ますます、私はこの人を好きになり、この関係を終わらせる時に辛くなる。
いや、逆に、付き合おうとか言ってしまうかもしれない。
それが、怖い。


< 27 / 96 >

この作品をシェア

pagetop