愛よりもお金が大事。
美里が店から出ると、冬野は私の向かいの席へと移動した。
「それにしても、よくこの店に私が来てるって分かったね?」
目の前でグラスの水に口を付けている冬野に話し掛ける。
「夏村自身が、前に言ってただろ?
近藤とランチなら大体この店だって。
課の奴に訊いたら、お前は近藤とランチに行ったって言われて」
それは、同じ課の女性社員の橋本さん辺りに聞いたのかな?
出る時、橋本さんに美里とランチ行くって話したから。
「そう。
それにしても、冬野が私の事を好きなの、同期のみんな知ってるみたいだね?
だから、美里にそう言われて、ついつい口滑らせて私達の事話してしまって…」
そう話しながら、何を言い訳しているのだろうか、と思うけど。
冬野との関係を美里に話した事を、冬野は怒ってたりするんじゃないかって。
「まあ、一課に行って、またエリート商社マンと付き合えるといいな?」
冬野は、凄く不機嫌で。
やっぱり、その辺りをしっかりと聞かれていたのか。
また、とか、嫌味っぽいな。
ちなみに、前彼の商社マンの彼は、大学の時の友達が開いてくれたコンパで知り合った。