愛よりもお金が大事。
「それより、引き継ぎで私に聞きたい事って?」


話を変えてやる。


「ああ。S町駅の店舗の事なんだけど。
あそこの店、歓楽街の近くだからか、遅い時間の方が客入り良かったよな?」


「うん。そう。
近くのお店で働く人達が仕事終わりに来てくれたり。
だから、深夜でもフードがけっこう出る」


「じゃあ、メニューの方いじっていいか?
俺のほうで案出して、深夜限定のセットとか新しく作ったり。
一応、夏村にどんなのするか、ちゃんと報告するから」


「いいよ。今回そうやって引き継いで貰うけど、私もいつ二課に戻れるか分からないし。
もう冬野の担当店舗だと思って、好きにして」


本当に、そうだな。
前田課長には、2ヶ月くらいあっちかな?と言われているけど。
なんだか、このまま一課に移動って事も、ありうる。


仕事に私情は持ち込みたくないが、冬野とこのまま課が離れてしまうのは、嫌だな。


「分かった。
早く俺の横のデスクに戻って来いよ。
商社マンを捕まえる前に」


そう言いながらも、冬野がいつもように笑ってくれていて、ちょっと安心した。
このまま気まずくなったら嫌だな、と思っていたから。


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