愛よりもお金が大事。
その商談自体は、いまいち手応えが得られず終わった。
その場で即決して貰えないと、難しいだろうな。
「今日はご足労頂き、ありがとうございました」
あくまでもクライアントはこちら側なので、商談に使った小会議室を出た所迄しか、見送らない。
相手がクライアントなら、会社のエントランス迄見送るし、
そもそも、こちらから出向いているだろう。
「いえ。
こちらこそ、貴重なお時間を割いて頂き、ありがとうございます。
先程の件、またこちらから連絡させて貰います」
そう、七種さんは綺麗にお辞儀をする。
お互い営業同士で、腹の探り合いのようなやり取り。
ただ、それは、仕事上だけではなくて。
「けど、新しい担当の方が、夏村さんのような美人で、緊張してしまいました」
その七種さんの言葉も、そう。
商談はちゃんと真面目に仕事をしたけど、この人にさりげなく私は自分をアピールしていた。
「流石、商社の営業マン、お世辞が上手ですね。
緊張しているようには見えませんでしたよ?
けど、七種さんなら、美人なんて見慣れてらっしゃるんじゃないんですか?
七種さんの彼女さんも、きっと凄く美人な方なのでしょうね?」
「いえ。彼女なんて、もう数年居ませんよ。
美人どころか女っ気もなくて」
「え、そうなのですか?!
七種さん、凄くモテそうなのに」
そう言って、彼女が居ない事に少し嬉しそうな表情を浮かべてみる。
「いえいえ。
あ、もし良かったら、今度一緒に食事でも――」
七種さんが私の思惑通り、そうやって私を誘ってくれた時。
不機嫌そうな表情を浮かべた冬野が、こちらへと歩いて来る。
また、タイミングの悪い。
その場で即決して貰えないと、難しいだろうな。
「今日はご足労頂き、ありがとうございました」
あくまでもクライアントはこちら側なので、商談に使った小会議室を出た所迄しか、見送らない。
相手がクライアントなら、会社のエントランス迄見送るし、
そもそも、こちらから出向いているだろう。
「いえ。
こちらこそ、貴重なお時間を割いて頂き、ありがとうございます。
先程の件、またこちらから連絡させて貰います」
そう、七種さんは綺麗にお辞儀をする。
お互い営業同士で、腹の探り合いのようなやり取り。
ただ、それは、仕事上だけではなくて。
「けど、新しい担当の方が、夏村さんのような美人で、緊張してしまいました」
その七種さんの言葉も、そう。
商談はちゃんと真面目に仕事をしたけど、この人にさりげなく私は自分をアピールしていた。
「流石、商社の営業マン、お世辞が上手ですね。
緊張しているようには見えませんでしたよ?
けど、七種さんなら、美人なんて見慣れてらっしゃるんじゃないんですか?
七種さんの彼女さんも、きっと凄く美人な方なのでしょうね?」
「いえ。彼女なんて、もう数年居ませんよ。
美人どころか女っ気もなくて」
「え、そうなのですか?!
七種さん、凄くモテそうなのに」
そう言って、彼女が居ない事に少し嬉しそうな表情を浮かべてみる。
「いえいえ。
あ、もし良かったら、今度一緒に食事でも――」
七種さんが私の思惑通り、そうやって私を誘ってくれた時。
不機嫌そうな表情を浮かべた冬野が、こちらへと歩いて来る。
また、タイミングの悪い。