愛よりもお金が大事。
「さっき。
冬野に花梨って初めて呼ばれた。
変な感じ」


それを思い出し、ちょっとくすぐったいような気持ちになる。
違和感あるけど、悪くない。


「さっきの返事は?
今夜、どう?」


え、さっきの本当に誘っていたんだ。


「でも、私達会うの、大体金曜日でしょ?
まだ水曜日」


「金曜日じゃない事も、あるだろ?」


そう言われると、あるけど。
バレンタインデーとホワイトデーに会ったのも、そうだった。
まあ、初めの頃は曜日なんて関係なく、けっこう会っていたけど。


私達の会瀬は、大半が冬野から誘って来てって感じ。
会いすぎだと思ったら、その冬野の誘いを断ったりして、週1くらいのペースにして。


冬野の誘い自体は、初めの頃と変わらず週2~3くらい。
早く会いたいや、好きだとLINEのメッセージが来るのは、毎日。


「今日は、私は真っ直ぐ帰りたいかな?」


やはり、一週間は経っていないと。
それを保たないと、段々と毎日でも冬野の家に行ってしまいそうだから。
そんな事になったら、すぐに私に飽きられてしまう。


「分かった。
それなら、仕方ないな」


そう言って、冬野は私の手首辺りを強く掴み、今の今まで私が商談に使っていた小会議室へと私を連れて行く。


「冬野、どうしたの?」


それを無視して、冬野は扉の鍵を閉めた。
ガチャリ、としんとした部屋に響く。

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