愛よりもお金が大事。
「冬野さん、この部屋の前通る度、私の方チラチラ見るんですよ!
それに気付いたのは昨日なんですけど、今日もそうで」


それは、栗原さんじゃなくて、冬野は私の姿を探していたのではないだろうか?



なんか、その私の思考回路も栗原さんと大差ないかもしれない。


「夏村さんって、冬野さんと仲良いって聞いて。
夏村さん、冬野さんの事好きなんですか?
私、冬野さんけっこうアリなんで、夏村さんに邪魔されたくなくて」


「え、それは…」


いつものように、冬野の事好きじゃないって言ってしまえばいいのだろう。


冬野の気持ちに応えられない以上、冬野が栗原さんとどうなろうと本人達の勝手だけど。


でも、この子は嫌だ。


本気で冬野の事好きなように思えないし。
冬野には、もっと冬野に似合う然るべき素敵な女性がいい。


「…それは、嫌」


だからか、勝手に私の口からそう出た。


「分かりました!
私と夏村さんは、ライバルって事ですね?
どちらが冬野さんに選ばれても、恨みっこなしで」


「はぁ…」


なんだか、よく分からない展開になってしまった。


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