愛よりもお金が大事。
今日は栗原さんもコンビニランチらしく、小さなカップサラダが1つだけデスクに載っている。
栗原さん痩せてるのに、ダイエットでもしているのだろうか?


プラスティックのフォークを持つ栗原さんの指の爪は、綺麗にネイルされていて。
私が冬野なら、私よりも栗原さんを選ぶかもしれないなと、
不衛生に伸びてないが、何の手入れもしていない自分の爪に目を向けた。


そういえば、前に冬野が付き合っていた派遣で来ていた女の子も、栗原さんのように、女子として完璧だったな。
顔は栗原さんの方が可愛いけど、凄い胸の大きな子で。


その冬野の元彼女はどうか知らないけど、栗原さんに関しては、
派遣社員なのがもったいないくらいに仕事が速く、出来る人。
初めてまともに話した時が冬野の事で、この子ちょっと…、と思ったけど。
この半月程一緒に働いてみて、栗原さんの評価が私の中で高くなった。


だから、もし、冬野が栗原さんと付き合うとなっても、今なら応援出来るかもしれない。


「私、今度冬野さんをご飯に誘ってみようかな?って思ってます」


「そう…」


「夏村さん、構いませんよね?」


そう訊いて来る栗原さんは、私がダメだと言ったら辞めてくれるのだろうか?
そもそも、私にお伺いをたてなくても。


「勝手にどうぞ」


もう、私は冬野とは何の関係もない。
中途半端に体の関係を持ったばかりに、仲の良い同期にも戻れない。


それにしても、今日は金曜日か…。

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