愛よりもお金が大事。
冬野の実家のリビングに通され、ソファーで冬野の両親と向かい合う。


「…お父様は、財務省にお勤めなのですか?」


公務員と聞いて、勝手に役所を想像していたが。
公務員にも色々あって。その中には地方公務員や、国家公務員があって。


冬野のお父さんは、国家公務員で財務省に勤めているキャリア官僚で、さっきから聞いてる感じ、財務省の局長…。


「けど、同期が次期事務次官で。
そうなると居づらくて、もうすぐ民間に移るのですが」


冬野のお父さんはそうやって、出世競争に負けてと少し恥ずかしそうに笑うけど。
それって、天下り…。



「花梨さん、うちの父が言っていたようにとてもお綺麗な方で。
父もとても花梨さんの事を気に入ってました」


そう言うのは、冬野のお母さん…。


ん、冬野のお母さんの父親は、冬野のお祖父さん?
私、会った事ないけど。


「夕べ、父から私に電話があってね。
透の思いを寄せている女性に会ったって」


昨日の夜…。


いや、まさか…。
いや、まさかね。


まさか、と思い、隣に座る冬野を見ると。
私の目を見ただけで分かったのか、頷いた。


冬野のお祖父さんは、あけぼし商事の浅村会長…。


< 81 / 96 >

この作品をシェア

pagetop