愛よりもお金が大事。
「あの、私の家庭の事情はお聞きになってますか？」　


多分、私が困っているのはそれだろう。
どう考えても、冬野の家と私の家は釣り合っていない。


「はい。透から聞いてます。
うちは子供が六人居て、まあ、透は次男ですし。
夏村さんの家庭に婿として入るのも、それは構いませんよ。
それに、透が夏村さんと一緒に夏村さんのお母様や弟さん達を支えて行きたいならば、それも構いませんし、
私と妻も、何か夏村さんのお力になれたらと思っております」


そう言うのは、冬野のお父さんで。



「いえ、そんな。
透さんのご両親にもそうですが、透さん自身にも迷惑を掛けるような事はないようにと思ってます」


母親が心配だから私の家で同居はして欲しいと思っていたが、婿に入って欲しいとか、それ以上の事は望んでない。


「ただ、うちの父が、将来的に透にあけぼし商事の経営を任せたいような事を前から言っていて。
もしかしたら、透の仕事が変わる事で花梨さんにはご迷惑掛けるかもしれませんが」


そう申し訳なさそうな冬野のお母さんに、いえいえ、と首を振る。
冬野が将来的にはあけぼし商事の重役とか、本当に想像すら出来なくて。
なんだか、圧倒され過ぎる。

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