孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】
彼の言葉に既視感を覚えるのは、以前私も言ったからだ。『鮫島家にいようが黒凪家に行こうが、私の意思は関係ないんですよね。どこへ行っても同じ』って。
奏飛さんも周りから悪態をつかれて、家族の愛に飢えていたんだ。なにもかも違うと思っていた私たちが、まさか似た者同士だったなんて。
ずっと変わらなかった彼の表情が、伏し目がちになってやや憂いを帯びていく。
「深春を手に入れたかったのは、自分と似たものを感じたからでもあるんだろうな。一緒にいられるんじゃないかって思った人は初めてだったんだ」
誰にも興味がなかった彼が、こんな私を選んでくれた。愛はないとしても、それはたぶん奇跡みたいなこと。
胸の奥から込み上げてくるものを感じ、私は大胆にも奏飛さんの身体に手を回していた。彼の顔は見えないけれど、戸惑っているのが伝わってくる。
「深春?」
「……なんとなく、抱きしめたくなって」
これは同情? 愛情? わからないけれど、ただこの人の一番近くに寄り添っていたい。私も、こんな感情になるのは初めてだ。
奏飛さんも周りから悪態をつかれて、家族の愛に飢えていたんだ。なにもかも違うと思っていた私たちが、まさか似た者同士だったなんて。
ずっと変わらなかった彼の表情が、伏し目がちになってやや憂いを帯びていく。
「深春を手に入れたかったのは、自分と似たものを感じたからでもあるんだろうな。一緒にいられるんじゃないかって思った人は初めてだったんだ」
誰にも興味がなかった彼が、こんな私を選んでくれた。愛はないとしても、それはたぶん奇跡みたいなこと。
胸の奥から込み上げてくるものを感じ、私は大胆にも奏飛さんの身体に手を回していた。彼の顔は見えないけれど、戸惑っているのが伝わってくる。
「深春?」
「……なんとなく、抱きしめたくなって」
これは同情? 愛情? わからないけれど、ただこの人の一番近くに寄り添っていたい。私も、こんな感情になるのは初めてだ。