孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】
「これは……?」
「あっ、今日歩くんが来て、クラシックコンサートのチケットをくれたんです」
封筒の中のチケットを確認するように見下ろす彼に、正直に伝える。
「お義母様からクラシック鑑賞もしなさいって言われていたし、せっかくだから行ってみようかなって──」
「行くな」
奏飛さんの声色も表情も一気に氷点下まで下がった気がして、私は息を呑んだ。笑顔も強張る。
「どうして……」
「クラシック鑑賞をしたいだけなら、あいつと行く必要はないだろ」
冷たい声が響き、胸がざわめきだす。ふたりきりではないと先に伝えるべきだったかと思い、なるべく明るい調子で説明する。
「あの、私だけじゃないんです。沢木さんも一緒に行くつもりなので」
「沢木さん? 本当か?」
疑われたことにショックを受けたのもつかの間、彼はテーブルの上に無造作に封筒を放って続ける。
「こんなメッセージを送るような仲なのに」
「メッセージ……?」
一体なんのことかと首をかしげて見下ろすと、封筒から覗くのはチケットだけではない。一枚の小さなメモが入っているのに気づいていなかった。
【楽しみにしてるよ。皆には内緒でね】
え? なにこれ……内緒って、なんで?
「あっ、今日歩くんが来て、クラシックコンサートのチケットをくれたんです」
封筒の中のチケットを確認するように見下ろす彼に、正直に伝える。
「お義母様からクラシック鑑賞もしなさいって言われていたし、せっかくだから行ってみようかなって──」
「行くな」
奏飛さんの声色も表情も一気に氷点下まで下がった気がして、私は息を呑んだ。笑顔も強張る。
「どうして……」
「クラシック鑑賞をしたいだけなら、あいつと行く必要はないだろ」
冷たい声が響き、胸がざわめきだす。ふたりきりではないと先に伝えるべきだったかと思い、なるべく明るい調子で説明する。
「あの、私だけじゃないんです。沢木さんも一緒に行くつもりなので」
「沢木さん? 本当か?」
疑われたことにショックを受けたのもつかの間、彼はテーブルの上に無造作に封筒を放って続ける。
「こんなメッセージを送るような仲なのに」
「メッセージ……?」
一体なんのことかと首をかしげて見下ろすと、封筒から覗くのはチケットだけではない。一枚の小さなメモが入っているのに気づいていなかった。
【楽しみにしてるよ。皆には内緒でね】
え? なにこれ……内緒って、なんで?