孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】
話を聞くや否や、沢木さんは珍しく興奮気味に小走りでどこかへ向かっていく。ほどなくして戻ってきた彼女は、細長い長方形の箱を私に差し出した。
「こちらの検査薬でお調べになってください。こんなこともあろうかと、以前からご用意しておりました」
「準備よすぎでしょ」
ツッコまずにはいられなかったが、実際ものすごくありがたいのでお言葉に甘えて受け取る。
ふたりで説明をまじまじと読んだ後、意を決した私は緊張しながらお手洗いへ向かった。
──数時間後、検査薬の結果を見てすぐに予約した産婦人科の待合室で、私は白黒のエコー写真を眺めている。
『五週六日になりますね。ほら、もう心臓も動いていますよ』
先ほどの診察中、女性の院長さんに教えられてモニターを注視すると、チカチカと点滅している部分が見えた。小さな小さな命の存在をこの目で確かめられて、言いようのない感動が込み上げた。
まだ平らなお腹にそっと手を当ててみる。
私と奏飛さんの赤ちゃんがここにいる。私たちと血の繋がった、正真正銘の家族。
これ以上の宝物があるだろうか。ひとつの奇跡が起きたのだと実感して、泣きそうになるくらい嬉しかった。
「こちらの検査薬でお調べになってください。こんなこともあろうかと、以前からご用意しておりました」
「準備よすぎでしょ」
ツッコまずにはいられなかったが、実際ものすごくありがたいのでお言葉に甘えて受け取る。
ふたりで説明をまじまじと読んだ後、意を決した私は緊張しながらお手洗いへ向かった。
──数時間後、検査薬の結果を見てすぐに予約した産婦人科の待合室で、私は白黒のエコー写真を眺めている。
『五週六日になりますね。ほら、もう心臓も動いていますよ』
先ほどの診察中、女性の院長さんに教えられてモニターを注視すると、チカチカと点滅している部分が見えた。小さな小さな命の存在をこの目で確かめられて、言いようのない感動が込み上げた。
まだ平らなお腹にそっと手を当ててみる。
私と奏飛さんの赤ちゃんがここにいる。私たちと血の繋がった、正真正銘の家族。
これ以上の宝物があるだろうか。ひとつの奇跡が起きたのだと実感して、泣きそうになるくらい嬉しかった。