孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】
 深春の生い立ちや家族についての調査結果を見ながら、瑛司は怪訝そうにしている。

『奏飛が選んだのはどんなお嬢さんか……とりあえず彼女の身辺調査をさせてもらう。いいな?』

 昨日父がそう言った直後から佛さんが動いていたようで、この時にはすでに調べられていた。その結果を見た皆があんぐりと口を開けていて、きっと瑛司と同じように思っているだろう。

「ビジネスは関係ない。ただ、守ってやりたいと思った。そういう子は初めてなんだ」

 率直な気持ちを口にすると、皆一様に目を丸くして俺を凝視した。まるで貴重な天然記念物でも見るかのように。

 少しの間流れた沈黙を、複雑そうな顔をした母が破る。

「まあ、明日会えばどんな子かわかるわ。私はあまり賛成はしていないけど」

 母が賛成しないのも致し方ない。これまで決まりはなかったとはいえ、皆お互いの得になる家柄の相手と結婚してきたのだから。

 兄弟そろって帰るため玄関へと向かう最中、歩と瑛司も浮かない顔で話しかけてくる。

「深春ちゃん、だっけ? いいとは言えない環境で育ったみたいだけど、その子で大丈夫?」
「周りからは反感を買いそうですね。身分が釣り合っていない人は排除したがる者もいますから」
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