孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】
「だから、僕もちょっとふたりの仲を確かめるようなことをした。幼稚でごめんね。でも、深春ちゃんが兄ちゃんを変えたのも納得した」
バツが悪そうに笑って謝る歩くんは、おそらくクラシックコンサートの一件について言っているのだろう。
もしかして、チケットの中に意味深なメッセージを入れたのも間違いではなかった? だとしたら歩くんって、小悪魔というかなんというか……。
あまり兄弟同士で絡む場面を見ないから、皆ドライなのだと思っていた。でもそれは奏飛さんが一線を引いてしまっていたからで、本当はもっと仲よくしたいと歩くんたちはずっと望んでいたのか。
「おふたりとも、そんなに奏飛さんのことが好きだったとは」
目を丸くして率直に言うと、一瞬皆が黙って微妙な空気感になってしまった。それを断ち切るのは、内心驚いているであろう奏飛さんだ。
「俺のために争わないでくれ……?」
「そーいうんじゃないから」
真面目な顔で冗談を言う彼に、歩くんが即行でツッコんだ。私は堪えきれずに笑うも、歩くんが「普通に好きな子いるし」と呟き、ちらりと横に目をやるのに気づいた。
その視線の先には沢木さんがいて、目が合った彼女は一気に赤面してあからさまにどぎまぎし始める。このふたり、やっぱり恋が始まりそうだ!と、私の意識は明後日の方向に飛んで密かに興奮していた。
バツが悪そうに笑って謝る歩くんは、おそらくクラシックコンサートの一件について言っているのだろう。
もしかして、チケットの中に意味深なメッセージを入れたのも間違いではなかった? だとしたら歩くんって、小悪魔というかなんというか……。
あまり兄弟同士で絡む場面を見ないから、皆ドライなのだと思っていた。でもそれは奏飛さんが一線を引いてしまっていたからで、本当はもっと仲よくしたいと歩くんたちはずっと望んでいたのか。
「おふたりとも、そんなに奏飛さんのことが好きだったとは」
目を丸くして率直に言うと、一瞬皆が黙って微妙な空気感になってしまった。それを断ち切るのは、内心驚いているであろう奏飛さんだ。
「俺のために争わないでくれ……?」
「そーいうんじゃないから」
真面目な顔で冗談を言う彼に、歩くんが即行でツッコんだ。私は堪えきれずに笑うも、歩くんが「普通に好きな子いるし」と呟き、ちらりと横に目をやるのに気づいた。
その視線の先には沢木さんがいて、目が合った彼女は一気に赤面してあからさまにどぎまぎし始める。このふたり、やっぱり恋が始まりそうだ!と、私の意識は明後日の方向に飛んで密かに興奮していた。