孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】

 ──冬の澄んだ青空に、ベールのような薄い雲がたなびく十二月最初の土曜日。これからいよいよ結婚式が行われる。

 式場も階級によってだいたいの決まりがあり、費用や大きさがアッパー・ミドルのランクに合っているホテルの会場を選んだ。といっても、私にとってはどの式場もハイクラスなので正直違いがわからなかったが。

 ウェディングドレスはお腹を締め付けないハイウエストのふわっとしたAラインで、長い髪はすっきりとまとめた。メイクはなんと翼さんがブライズルームに来て、とても綺麗で華やかに仕上げてくれた。

 タキシード姿も完璧な奏飛さんは、私を見て「異次元の可愛さだ」と真顔で言うものだから、おかしいやら恥ずかしいやら。

 スタッフの女性に「多くの新郎様は照れてあまり褒めないのですが、旦那様は素敵ですね」と言われ、こちらのほうが照れてしまった。

 挙式の前に、黒凪家の皆さんとリハーサルや写真撮影を行う。準備を終えた私と奏飛さんは、皆が集まるチャペルに移動しようと、まだ受付を始める前のロビーを通りがかった。その時……。
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