孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】
叔母と星羅は今の今まで信じていなかったらしく、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
「ほ、本当に結婚するつもり……!?」
「嘘よ、深春ちゃんが玉の輿に乗るなんて……! 勝ち組になるなんて許せない」
嫉妬心をむき出しにしてぶつぶつと文句を言うふたりに構わず、黒凪さんは私の肩を抱いたまま歩き出す。
その瞬間、弾かれたように立ち上がった叔父が「待ってください!」と呼び止めた。
「家の売買の件は、予定通り黒凪さんが進めてくださるんですよね? 他社よりもいい条件で買い取るという約束は……!」
……ああ、この人はどこまでも自分本位だ。この期に及んで、まだお金の心配をしている。私の存在はこれっぽっちも残っていないんだね。
もうショックすら受けないが、黒凪さんは一瞬ものすごく怖い表情を見せた。しかし振り返った彼は、口元にだけわずかに笑みを作って答える。
「それにつきましては真摯に対応しますのでご安心を。結納金代わりに気持ち上乗せしてさしあげましょう」
叔父はあからさまにほっとするも、彼に向ける黒凪さんの視線がナイフのように冷たく鋭いものに変化する。
「ただ、私はあなたを人として心底軽蔑します」
闇へ突き落とすような声で吐き捨てる彼の迫力に、叔父は凍りつき、叔母と星羅も縮み上がっていた。
「ほ、本当に結婚するつもり……!?」
「嘘よ、深春ちゃんが玉の輿に乗るなんて……! 勝ち組になるなんて許せない」
嫉妬心をむき出しにしてぶつぶつと文句を言うふたりに構わず、黒凪さんは私の肩を抱いたまま歩き出す。
その瞬間、弾かれたように立ち上がった叔父が「待ってください!」と呼び止めた。
「家の売買の件は、予定通り黒凪さんが進めてくださるんですよね? 他社よりもいい条件で買い取るという約束は……!」
……ああ、この人はどこまでも自分本位だ。この期に及んで、まだお金の心配をしている。私の存在はこれっぽっちも残っていないんだね。
もうショックすら受けないが、黒凪さんは一瞬ものすごく怖い表情を見せた。しかし振り返った彼は、口元にだけわずかに笑みを作って答える。
「それにつきましては真摯に対応しますのでご安心を。結納金代わりに気持ち上乗せしてさしあげましょう」
叔父はあからさまにほっとするも、彼に向ける黒凪さんの視線がナイフのように冷たく鋭いものに変化する。
「ただ、私はあなたを人として心底軽蔑します」
闇へ突き落とすような声で吐き捨てる彼の迫力に、叔父は凍りつき、叔母と星羅も縮み上がっていた。