孤高の御曹司は授かり妻を絶え間なく求め愛でる【財閥御曹司シリーズ黒凪家編】
 感激する佛さんの隣で、お義母様は再び呆気に取られていた。罰を与えたはずがうまくいかなかったせいかな、となんとなくわかる。

「あの、お義母様」
「……なんでもないわ。さっさと戻るわよ」

 遠慮がちに顔を覗き込むと彼女は仏頂面に変わり、小言はもうなにも言わずにくるりと踵を返す。私は佛さんと目を見合わせ、お互いに苦笑を漏らした。


 スパルタ勉強会は午後四時頃までみっちりと続き、とりあえず重要な昇任の仕方については理解した。

 階級はすべてで五段階。まず学生までのロウワーから始まり、就職したらロウワー・ミドル、役員クラスに昇進したらミドル・ミドル、結婚したらアッパー・ミドル、子供が生まれたらアッパーという順に上がっていくのが一般的らしい。

 仕事で昇進しなくても結婚したり子供が生まれたりすれば階級は上がるそうだが、給料が伴わないので苦労することが多いのだと聞いた。この制度が本当に必要なのかどうかは、やっぱり首をかしげてしまう。

 これらをひと通りざっくりと教えられたところでやっと解放された。

 今日は家まで佛さんが送迎してくれる。奏飛さん付きの運転手は彼の仕事のほうに回っているので、代わりに佛さんが買って出てくれたのだ。車さえあれば自分で運転するのに……と思うのも、庶民の感覚なのだろう。
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