転生(未遂)秘書は恋人も兼任いたします
「俺、妖精を通り越して仙人になれそう」
「お前それでも男かよ。よく耐えられるな」
「あのな、俺だってほんとはしたいんだよ。なんなら息子もちゃんと反応してるし、毎日死ぬ思いで理性保ってて」
「そんな我慢する必要ある?一応付き合ってんだよな」
「…でもあの目に見つめられると、まじで手が出せない…」
数ヶ月一緒にいて分かったけど、紗良は表情に似合わずかなり優しい。
たまにぶっ飛んだことを言うし、未だに俺に笑顔を見せないけど、常に冷静で思いやりもある。
でも反対に、表情が変わらない分何を考えているのか全く読めない。少しでも間違えたら嫌われるんじゃないかと不安になって、手が出せない。
でもちょこちょこ俺の心臓鷲掴んでくるから、こう見えて何度も理性が飛びかけてる。
なんなら毎日欠かさずあのネックレスを首元で光らせているから、それを見る度つぶれるほど抱き締めたくなる。
サプライズも全てが失敗に終わり、挙句の果てに“首輪”と訳の分からない言い訳をして、死ぬほどダサい渡し方をしたにも関わらず、大事に使ってくれる紗良…控えめに言ってもクソ可愛い。
これがあと何ヶ月も続くのかと思うと…うん、無理。
紗良は度々“恋人らしいことをしていない”と言う。それってやっぱり、もっと踏み込んでいいってことなのだろうか。
「花火大会、さすがに手くらい繋げよ(何だこの高校生みたいなアドバイス)」
「…頑張る」
紗良が誘ってきた花火大会くらい、もう少し近付いても怒られないかな。